溜め息の雨



ぽつり ぽつりと

肩に落ちる


雫のような

溜め息


ぱらぱらと

風に乗り


落ちる雨

傘も差さずに

歩く帰り道


角を曲がれば

閉店前のスーパー


駆け込む僕は

“お醤油切らしたから買ってきて”



君のメールに忠実に

一列 一列

醤油を探して歩くんだ







“おかえり”

“ありがとう”

その響きと あの笑みが


溜め息を吹き飛ばすこと

知っているから




自動ドアを抜け

無機質な音につられて開いた画面には

“今どこ? 傘もっていくよ”



君の焦った顔が

目に浮かぶよう




僕は駆け出すんだ


返事をする間も惜しんで